前回は、日本語のカナ文字が条件反射的にのど声を招いてしまう現象(僕はこれを「カナ縛り」と名付けている)から脱却するため、まず声を出さずに口やのど周りを弛緩させるステップについて述べた。
この「脱カナ縛り」の準備フォームができてきたら、次は実際に声を出すのだが、このときにも余計な力が入りやすい。声を出そうと思っただけで、もうのどが力み始めたりする。繰り返すが、のどには力を入れないほうがいい。のど声になってしまうからだ。
それにはどうするかというと、「のどから声を出す」という意識を捨てるべきなのだ。
こういうと、「だって声帯はのどにあるじゃないか」という人もたくさんいるだろう。確かに理屈はそうなのだが、そう考えている限り何も今までと変わらない。「のどから声を出す」と思っていると、のどの力みはなくならず、弛緩状態にはならないのだ。「英語はのどで発声する」という説もときどき耳にするが、何語だってのどを使って発声するには違いないし、そもそも英語をよく響く声で話す人は決してのどを力ませてはいない。英語の発声は日本語の発声とは違う、というだけならばうなずけるのだが、のどがその違いのカギだ、といわれると、僕などは「うーん」と考えこんでしまう。
のど声文化で育ってきた僕たち日本人は、のどで発声しなさい、と言われると、のどを今以上に力ませてしまいやすい。これではカナ縛りが重症化するばかりだ。そういう力みをなくしてカナ縛りを完全に脱却しない限り、たぶん別次元の声には到達できない。むしろ、「英語はのどでは発声しない」というほうが、体感的には正しいと僕は感じている。英語の発声のポジションは、実はのどよりもかなり高いのだ(あくまで体感の話だけどね)。
ちょっと脱線してしまったが、話を元へ戻して次回に続けよう。
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